Vol.313 2020.10.13

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Column

運河を歩く その2

ミラノで運河といえば、まず街の南西にあるナヴィリオ・グランデ(大運河)を指すことがほとんどだろう。このヨーロッパ最古の人工水路は、街の内環状(道路)と外環状の間を抜けてアッビアーテグロッソという西の町まで延びているが、実際はこのアッビアーテグロッソ辺りから工事が始まったと記録には残っている。そのまた西を流れるティチーノ川と合流することで物流に重きを置いてのプロジェクトだったと予見できるが、実際はミラノへの敵襲を防ぐべくつくられた壕のような役割が時代(12世紀中頃に手作業にて着工)の目的だったようである。

いまこうしてナヴィリオ・グランデ周辺を巡ると時代の遺産、たとえば、サン・ロレンツォ・マジョーレ聖堂やサン・ゴッタルド教会など宗教的な建物があり、重要な役目を果たしてきた様々な目的の建造物が目に留まる。水路に沿って石畳が長く敷かれるいかにも西洋らしき景観、石と水の交わる小気味よい融合が視覚的な好感をもたらしている。そのようなところには多くのショップや飲食店が軒を連ね、それを目当てにした人々が集まってくる。

ようやく本題に入れるのだが、自分にとってのミラノの運河というと街の北部に残るマルテザーナと名のついた水路。古来残る3水道のうちのひとつである。

この運河は前述のナヴィリオ・グランデよりおよそ300年遅れて、そうルネサンス時代に着工されている。ミラノより西側に延びる(実際は西方のティチーノ川からミラノへ向いた)大運河とは対を成すマルテザーナ運河は、街の東30キロにあるアッダ川(カッサノ・ダッダが地名)からの水道となる。要するにミラノを中心に流れる3つの川、ティチーノ川、アッダ川、そして底辺となるポー川(ランブロ川を経由)の恵み、時代を生きた人の知恵がミラノまで届けたということになる。夢のある壮大なプロジェクトである。

マルテザーナ運河への親しみは、16年間を過ごした、生まれたばかりのこどもを育てた住まいがこの水路沿いにあったことにはじまっている。

しかし、家の前に水路はありながら、このような歴史があることも、長い距離をもつことも知らなかった。聞こえは悪いが線の細い溝川というイメージしかなかったのである。ある日、10歳ほどになった娘とジョギングしようと上流に向かったのが最初だっただろうか。そこからこの運河との長いつき合いがはじまっている。

自分たちで定めた距離は片道3.5キロ。早歩きにも、走るにも7キロは手ごろであり、自らに課した継続という約束を裏切らなくて済みそうに思えた。ウォーキングしたところで60分もあれば帰ってこられる。

そうゆうわけで10年以上、ミラノ不在時やよほどの悪天候でない限り、この運河とつき合ってきた。四季の抱く美しさをミラノにいながら感じることのできる自然がありがたい。

堂満尚樹(音楽ライター)

ニューイヤーコンサート 6日間・7日間コース

年末年始を至福の音楽で迎える夢のひととき。
2021年は巨匠リッカルド・ムーティの指揮で華やかに幕が開きます。

本旅行での鑑賞公演

ウィーン・フィルニューイヤーコンサート

1月1日(金)11:15開演 楽友協会(大ホール)
指揮:R.ムーティ
演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
※曲目は未定


別途手配鑑賞公演のご案内

*旅行代金に含まれるウィーン・フィル ニューイヤーコンサート鑑賞チケットの他、さらに鑑賞ご希望の方には、下記公演のチケット手配を承ります。(別料金)

フンパーディンク《ヘンゼルとグレーテル》

12月30日(水)19:00開演(予定)、1月2日(土)19:00開演(予定)/7日間コースのみ
ウィーン国立歌劇場

指揮:C.マイスター
演出:A.ノーブル
出演:S.ヴェレス、V=L.ベッカー、B.ダニエル、R.ハングラー、M.ボヒネクほか

1月2日(土)14:00開演(予定)/7日間コースのみ
ウィーン国立歌劇場

指揮:C.マイスター
演出:O.シェンク
出演:V.ヴェレーズ、S.ザクナイコーヴァ、C.ウンターライナー、S.ハウツィール、 T.エベンシュタインほか

J.シュトラウス《こうもり》

12月31日(木)19:00開演(予定)、1月1日(金)20:00開演(予定) 
ウィーン国立歌劇場

指揮:C.マイスター
演出:O.シェンク
出演:G.ニグル、C.ニールンド、J.シュメッケンベッヒャー、R.ミューレマン、C.ボック、M.ラウレンツ、M.へスラー、P.シモニスチェクほか

ベートーヴェン《交響曲第9番 ニ短調「合唱つき」》

12月30日(水)20:00開演、12月31日(木)19:00開演、1月1日(金)20:00開演
コンツェルト・ハウス(大ホール)

指揮:M.ホーネック
ソリスト:S.シャトゥロヴァー、M.H.ラインホルト、 M.シュミット、T.ナズミ

ラモー《プラテー》

12月31日(木)19:00開演 アン・デア・ウィーン劇場
指揮:W.クリスティ、R.カーセン
出演:M.ベークマン、J.d.ビケ、C.オヴィティ、M.モイヨン、E.C=マーサーほか

J.シュトラウス《こうもり》

12月31日(木)19:00開演、1月1日(金)19:00開演
フォルクス・オパー

演出:H.ツェドニク
※指揮・出演者は未発表

バレエ《コッペリア》

1月2日(土)18:00開演/7日間コースのみ フォルクス・オパー
振付:振付:P.ラコット(A.S.=レオン原振付)
音楽:レオ・ドリーブ
※出演者は未発表

※記載の指揮・出演者等は現段階での発表のものです。事前の予告なく出演者等が変更となる場合がございます。変更が生じた場合でも旅行代金の返金はいたしかねますので、予めご了承ください。
※新型コロナウイルス感染症対策のため一部座席が制限されて配置される可能性があります。


6日間コース

旅行期間:2020年12月29日(火)~2021年1月4日(月)

7日間コース

旅行期間:2020年12月29日(火)~2021年1月4日(月)

ツアー同行講師 加藤浩子氏による
「加藤浩子の旅びと通信」好評掲載中!

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第9回目は、イタリアのオペラ旅で出会った、忘れがたい言葉たちについてです。

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